天気が荒れて大川の水位があがり、宿の客も日本橋の他の宿屋に移ってもらうほどの事態になる。しかし、そこにずぶ濡れの老人と娘が宿を求めて訪れる。
江戸では押し込み強盗の話しが持ち上がっている。
天候が荒れ、大川の増水と、東吾の家での落雷とで、東吾とるいの関係、周囲の人間模様に書き込みが加わる。
この辺りは、ドラマなどでシリーズの予備知識があると、なんとなく流してしまうところだろうが、全く知らずに読んでいく分には必要な書き込みだろう。丁寧に進行している感触で、るいの心情がしっかりと定義されていく。
事件の中心になる人物が最初から「かわせみ」に居て、事態が進行する時間軸を思い返すと、もう一度確認したい感触はあるものの、スリリングな展開を追って、最後には奉行所のお裁きによって色々とおさまりがつく形になる。
これはこれで、平岩弓枝の大胆な腕力だろうと理解する。