7巻。「酸漿」は「ほおずき」ですね。
傾向として、最後の長い種明かしが必要になるハナシが苦しい。これは、登場人物の配置が、それに向かないための様に思える。
実はこんな事も……。という源三郎のさらりとした報告以上のものが必要なハナシは、駄目話になる可能性が高い。
東吾が語って聞かせるにも、そこに源三郎からの伝聞を混ぜなければ補完できないハナシは、どうしてももたついてしまう。
と、思っていたけれど、7巻、安定しています。1〜3巻でやってしまった事を広げるべく、4、5巻辺りで初めた手探りが、ようやく安定してきた感じ。
それにしても、また時間調整が入っていて、本当にシリーズの長期化を意識し始めた雰囲気。かわせみが開業してからとか、東吾とるいが他人でなくなってからとか、その間にも少し余裕があるので、幕末のどの辺に時間を据えたかが、徐々に平岩弓枝の中で明確になっていたものだろうか。
収録作品
・春色大川端
・酸漿は殺しの口笛
・玉菊灯籠の女
・能役者、清太夫
・冬の月
・雪の朝