御宿かわせみ修行『神かくし』

投稿者: | 2004年7月3日

14巻。
心理的に不確定な人物が物語の核になるという形式は、「六阿弥陀道しるべ」で、ようやく、安定感のあるものを見た。
登場人物Aの何らかの行動が引き金になって、登場人物Bが何かアクションを起こす。BがAを殺すハナシならば、当然、Bを探るハナシになるということで、捕り物では、Aが被害者で、Bが加害者ならば、Aは早々に命を落として退場、Bを捜すか落とすという、シンプルな一本道になる。
これを、物語中に、心理の一転、二転する人物、何かを決めかねている人物を中心に置く事で、語りのバリエーションを広げるという試みが続いていたのだけれど、なかなか、うまくいっていない様に見えた。
「時雨降る夜」「神かくし」では、不確定を、二面性、隠された事実という辺りに落ち着けている。これが、とりあえずとったバランスなのか、この程度にしておく方が御しやすく、構成もしまるという判断なのかは、今後の展開次第。
と、いいつつ、15巻は比較的低調。「八朔の雪」は泣かすけれど、それだけ。
続行。

収録作品
・梅若塚に雨が降る
・みずすまし
・天下祭の夜
・目黒川の蛍
・六阿弥陀道しるべ
・時雨降る夜
・神かくし
・麻生家の正月

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