越中地下倉庫・日々の記録

日々書いたものをネット上に放出していきます。

ロラン・バルトの事故は、実は仕組まれたものだった。
そんな地点から始まるフィクション。
ミシェル・フーコー、ジャック・デリダ、フィリップ・ソレルスなど、とにかくニューアカの風が吹いた頃に、フランス現代思想、現代文学などでやかましかった人々が、登場人物として実名で出てきて、各々の著作で言っていたようなことを述べるやら、出てくるのは良いが、なにかと扱いが悪いので、とにかく読んでいて変な笑いがでる。

途中から完全に、これをバンドデシネかグラフィックノベルとして読めるなら、そっちのほうが楽しいかもしれないと思いながら、とにかく最後まで引っ張られた。
調べてみたところ、バンドデシネはある様だ。いっそ誰か悪ノリでエルジュの運びで描いてくれないものだろうか。

ローラン・ビネが、「エーコー」+「ファイトクラブ」が書きたかったということだったらしいが、確かにこういうことでいいのかもしれない。
「知っているもの、好きなものが並ぶだけでも十分に嬉しいので、こういうのはアリだ」という話に、単に記号的に並ぶだけでなにが嬉しいのかと、これまでかなり懐疑的だったが、確かにわかるだけに笑えるという場面が次々に投入され、それがまた必ずしも上品な方向でもないので、「なにをさしてるんや……」と思いつつ、先に進むしかない。

戦後フランスの哲学、思想界隈のスターを揃って登場させると同時に、ホームズのパスティーシュでもあるということで、ふと脳裏に浮かぶものが多いほど楽しめるということになるのだろうか。それ抜きで娯楽小説として成立しているのかどうか、わからないくらいにオマケが多かった。
イタリアの現代史についてもう少し知っておかねばとか、時間のあるときにホームズを読み返しつつ、ソレルスが手薄だったので読んでおくかと思う。
エーコーの『フーコーの振り子』も途中で放り出していたことを思い出す。こちらも隙あらば読む。
なかなか稀有な読書体験だった。

Amazon:『言語の七番目の機能』 ローラン・ビネ/東京創元社